父と歩けば
秋の深まりを都内でも感じられるようになったある週末、働きづめの父を息抜きに連れ出すことにしました。「行っておいで」と、忙しい中いろいろ手配してくれた家族に見送られ、父がハンドルを握る車で日光にやってきました。修学旅行や家族旅行、自分自身の結婚式など、数えきれないほど何度も訪れた日光。
でもこれほどまでにお天気に恵まれたことは何度あったでしょうか。
木漏れ日が明るい森には、秋の花々が咲いています。
これはヨメナ。一般的にはノギクといわれるキクの仲間です。
そしてヤクシソウです。
この花はいつからここに咲いているのでしょうか。何世代も花を咲かせては土にかえり、誰の力も借りずにその場所で命をつないでいるんですね。リュックサックを背負った小学生の私の足元に咲いていたのは、この花のお父さん?かもしれません。自然は偉大です。
そしてこっちは私の父。
よく肩車をしてくれました。今では私より少し小さくなってしまった後ろ姿ですが、あの頃の陽気さと、柴犬を思わせる弾むような足取りは健在です。ただ元気でいるということが、これほど人を喜ばせるということに気づかせてくれた存在です。
秋の湖畔はそろそろしまい支度です。若いころは夏が大好きだったBambooですが、最近はしみじみと、秋はいいなぁ…と思うようになりました。生命力が爆発するような夏は、気持ちが明るくなってワクワクするものの、自分自身との周波数が合わなくなってきている気がするのです。人生80年90年の時代。まだまだ若いとはいうものの、紅葉の先に冬枯れの山を見るような、あきらめともつかない思いにとらわれることもしばしばです。まあそんな感傷に浸ってしまうのは、まだまだ若い証拠かもしれませんが…
ひょうきん者の父もこうしていると味わい深いおじいちゃんに見えます。
父は76歳。少年だった日のこと、青春時代の夏の記憶などをたどることがあるのでしょうか。そして10年20年先を思い、心乱すのでしょうか。
湖畔もそろそろ夕暮れ。「宿に帰って温泉にでもつかろうよ!」
さて、お待ちかねの宴会タイムです。父から受け継いだものは、低い鼻、足の速さ、などなどいろいろありますが、何といっても「のんべえ」です。快く送り出してくれた家族と、こうして元気に杯を干す父の姿に感謝の夜となりました(^ω^)。
0コメント