インドの風、足立の風
ひたすら雨が続いた8月です。お日様の顔も忘れてしまいそうになった頃になりようやく夏が戻ってきたようです。
日照不足ながら、我が家のベランダでは夏の花が目を楽しませてくれています。サインペンくらいの小さな苗木を買ってきたプルメリア。4~5年たつでしょうか。1メートルを超えた今年、少しですが花を咲かせてくれました。うーん、良い香り(*´ω`*)気分はバリ島。
この青い花は、オオボウシバナといってツユクサの仲間ですが、それよりもっとずっと大きな、透き通るような美しい青い花を咲かせてくれます。
この青い色は水に溶けて消える性質があるため、滋賀県の草津地方では友禅の下絵描きの染料用に栽培されているとか。4年ほど前、スーパーのわきの植え込みで、このはっとする青さの花がたくさん咲いているのを見てひとめぼれし、種が付くのを心待ちに、そのスーパーへは秋まで何度も通いました。辛いことがあったその年の夏の記憶とともに、以来毎年、盛夏のベランダを涼しげな青で彩ってくれています。
そしてこれは?
綿の花です。ひよこ色の花はオクラの花にも似ていますね。とてもきれいなやさしげな花です。いくつかの花が同時に咲いたときに、絵筆で受粉をしてみたところ、
コットンボールです!
いくつかがポロリと落ちてしまいましたが、順調に成長中のものもあります。
もとはと言えばこの綿は、今年の1月にインド旅行に行ったときにデカン高原で拾ってきたものです。
赤土の道路の両脇にふわふわと漂っていた無数の落ち綿。手に取ってみるととても柔らかくつややかで、持ち帰らずにはいられませんでした。後になって、インドの綿花栽培は過酷を極めていること、デカン高原では年間に1000人もの綿花農家が生活苦から自殺した地区もあったことなどを知りました。海辺できれいな貝殻を拾った子供のように、ウキウキとうれしく、つぶさないように大切に綿を持って帰ってきた旅行者の自分。恥ずかしいような、後ろめたいような気持になったものでした。
さて、綿の中には無数の種があって
それをまいたのが5月。芽を出して種たちもさぞやびっくりしたことでしょうが、1月のインドで風に吹かれ漂っていた綿花は、8月の足立区のベランダで、エアコンの室外機の熱風に耐えています。
眺める人間の思いなどどこ吹く風。植物は根を下ろしたその場所で、頑張るしかないのですね。見習いたい植物のたくましさに、ナマステ。
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